護身術とは、暴漢などから自分や他人の生命・身体を守るための知識や技術、方法などの総称で、セルフディフェンスとも呼ばれています。広義には危険に近づかない知識や技術なども含まれますが、狭義では暴漢撃退法のみを指し、後者の意味のほうが広く使われています。武道・武術・格闘技などの専門家が護身術の指導を行っている場合も「相手を打ち倒すこと」ではなく「自分が安全に逃れる方法」を指導することを重視していて、いわゆる格闘技や逮捕術のような制圧や逮捕を目的とした術技ではありません。

護身術と格闘技の違い

護身術は、相手を打ち負かすことが目的ではなく、あくまでも自分の生命・身体を守ることが最優先事項とされています。そのため、相手を倒すことを前提としている格闘技のテクニックやセオリーとは似ている部分もありますが、違う部分も沢山あります。格闘技とは違い、相手にダメージを与えるよりも自分にダメージが無いことが重要視されるために相手の間合いに踏み込まず、自分に有利な間合いで戦い、常に「逃げる」ことを念頭においておくことが重要です。加害者を取り押さえ現行犯逮捕することは民間人にも認められた権利ですが、それは二の次にして、まずは自分の身を守ることを考えましょう。また護身術では、実践的な技術以前の問題として、日頃から危険な状況に身を置かないようにする心構えと行動が第一としています。つまり「夜間に出歩かない」「人通りの多い場所を歩く」「治安の悪い場所は避ける」といった危険な状態に陥ることを避けるにはどうすればいいか?を考えることが重要です。「危険な人物と向かい合ったときにどうするか」などという最悪の場合を「どうすれば回避できるか」を考えるべきであって、それに対する対処方法などは使わないで済むのが最上です。また、いよいよ危機的状況が回避できなくなった場合でも、次善策として「最小限の被害にとどめ、安全に窮地を脱する方法」として、相手が要求する金銭を与えてしまうことも含み、また「とにかく危機から逃れること」を最優先として一種の攻撃的手段に訴える場合もありますが、そういった手段の知識や実際の技能も、護身術の範疇には含まれています。

日頃の防犯意識が大切です。

具体的な護身方法

格闘技の訓練などは、ある意味で護身術に通じるものがあります。しかし相手が拳銃を所持していたともなると、達人ほどの修練を積んだ人でも対処が難しいので、格闘技はあくまでもケースバイケースです。日本の外務省の海外安全情報ページや、日本人向けの日本国外旅行用パンフレットには「○○地区には近づかないこと」などという表記が見られます。これは強盗に襲われたりする危険があるためで、これに従うのも広義の護身術です。中には、「財布とは別に、奪われても困らない程度の金銭を入れた財布を上着の外ポケットなどに入れておくこと」と案内するガイドブックもあります。なお、上着の内ポケットや、ズボンの後ろポケットに財布を入れておくと、強盗に襲われた際に助かりたい一心で財布を取り出そうとしたところ、強盗が「相手が抵抗するために武器を出そうとしている」と誤解していきなり発砲する危険があるため、注意が必要です。こういった配慮・情報も、命が助かることを前提とした護身術ならではといえるでしょう。狭義の護身術としては、「相手に手首を捕まれた」「後ろから羽交い絞めにされた」「路地などに追いつめられた」といった状況において、どのような体さばきでそれを振り払い逃れるかといった訓練がみられます。この中では先にあげた急所攻撃など、非力なものが相手に一時的な苦痛を与えてその状況を脱する方法も様々なものが見られ、思い切り向うずねを蹴飛ばしたり、ハイヒールのかかとで相手の足を踏みつけるといったような方法も提案されています。「護身術教室」などでは、そういった状況をロールプレイすることが多いです。また、昨今においては相手の攻撃そのものを封鎖するために襲撃者に密着する近接格闘術を取り入れたクラヴ・マガ、功朗法などもあります。

クラヴ・マガ

20世紀前半にイスラエルで考案された近接格闘術です。様々なイスラエル保安部隊に採用されることで洗練され、現在、世界中の軍・警察関係者や一般市民にも広まっています。一般市民向けのコースでは、軍・警察関係者向けに教えられている殺人術は除外する形で、護身術のいっかんとして防御に重点を置いたレッスンが提供されています。

功朗法

功朗法は、横山雅始により創設された護身術です。凶器を持った相手の突発的攻撃から身を守ることが基本体系となっています。特に隠れた場所、暗がりなどでの凶器による不意打ちや複数の暴漢への対処方法も練習体系に組み込まれています。実際の現場を想定しての対人稽古を中心に、暗がりや狭い場所での対応、複数の暴漢への対応などを学びます。

欧米での護身術

欧米では、護身術に対する考え方が日本のそれとは大きく異なっています。日本においては護身術を語る場合には技術的な話題に終始しますが、欧米においては、性暴力に対応するためには、肉体的な強さよりも心理的な強さが重要である、という考え方が一般的です。そのため、欧米で評価されている、キッドパワー、ウェンドー、モデル・マギングなどの護身術では、肉体的な強さよりも心理的な強さを重視しています。

キッドパワー

安全、自己防衛法、自己主張の方法についてなどを教え、受講者に身を守るための自身をつけさせようと活動している非営利団体です。キッドパワーはいじめ、いやがらせ、暴行、誘拐の防止に有効であると考えられています。暴力防止や自尊心育成などを目的とした様々なワークショップを行っていて、暴力や虐待被害を減らし、どのようにしたら安全を確保し、賢く行動し、自分自身に自信を持ち信じることができるかを教えています。

ウェンドー

ウェンドーはカナダで考案された女性専用の護身術です。「ウェン」はウーマンで女性を、「ドー」は武道の道を意味しています。フェミニズムの理念を取り入れ、家庭内暴力やレイプなどの状況に注目しています。多くの護身術では、見知らぬ他人からの性暴力を想定していますが、ウェンドーでは、性暴力の大半が知人によって行われると考えているため、知人からの性暴力に対応する方法に力を入れています。クラスでは生徒の準備が整い、生徒が希望しない限り一切の身体的接触を行わないのが特徴です。

モデル・マギング

アメリカ合衆国で、1970年代にマット・トーマスにより考案された、女性向けの護身術訓練法です。主な特徴として、技を練習するだけでなく、防具をつけた男性講師と全力で実際に戦う、という方法を採用しているというところが挙げられます。モデル・マギングを受講した女性が、習った技術を使って加害者をノックアウトした、または暴力的状況を回避したという例が多数存在していて、効果的な訓練方法として米国の多くの女性向け護身術団体がこの訓練法を採用しています。

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護身術の問題点

日本では防犯グッズであっても、人の生命を害したり、人の身体に重大な害を与えるような攻撃性のある器具を正当な理由がなく持ち歩けば軽犯罪法1条2号に違反します。これらの器具には例えばスタンガン・特殊警棒が該当します。防犯ブザーや警笛など、攻撃性のない防犯器具はそもそも軽犯罪法1条2号には該当しません。催涙スプレーに関しては、護身用として携帯し軽犯罪法で起訴されましたが最高裁で無罪とされた判決もあります。また、武道や格闘技の有段者・経験者が、暴漢を撃退し、怪我を負わせた場合、暴漢の武装の有無、その時の状況、怪我の程度などにより一概に言うことはできませんが、過剰防衛として扱われる可能性があります。これは格闘の専門家の肉体は武器であるという認識があるためです。

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