安倍晋三政権が誘致を目指していたカジノを含めた複合型リゾート「IR」の実現が、今日のコロナ状況下で、実現が遠のくことになりそうです。

以前から、担当副大臣の汚職事件や候補地に挙がっている住民の反対運動等で、IR事業展開には既に黄色信号が灯っていましたが、コロナ禍による米大手企業の候補地からの撤退もあり、日本でのIR事業自体に疑問の声も挙がっています。

今後コロナ情勢がどう展開していくのか、先が読めない状況であることはまだ変わりません。

米大手が撤退していく中、カジノ事業全般に関しては知識や経験が乏しい日本が、カジノを誘致しても、利益につなげる事が難しいと考えています。

今回は、日本がカジノ誘致として推奨する「IR事業」とな何か?今後日本にカジノを誘致出来る可能性はあるのか?検証していきたいと思います。

カジノ誘致・IR事業とは

2016年12月、統合型リゾート(IR)整備推進法案、通称「カジノ法案」が成立しました。

長らくカジノを違法としてきた日本において、カジノが解禁されるという事で動向が注目されていました、ギャンブル依存症や治安に対する懸念から、カジノ法案反対の声も未だに多いのが現状です。

「カジノ法案」は、単にカジノを作る為だけの法律ではなく、正式名称「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」と言い、簡単に言うと”カジノだけ”ではなく、”カジノを含めた”統合型リゾート(IR)を作っていきましょう」という法律です。

カジノ法案と呼ばれていることから誤解されがちですが、単にカジノを作る為の法律ではないのです。

カジノ誘致:IR統合型リゾートとは

ir osaka

”統合型リゾート”とは、どういった施設なのかというと・・・

・ホテル

・劇場、映画館

・アミューズメントパーク

・ショッピングモール

・レストラン

・スポーツ施設

・スパなどの混浴施設

・国際会議場、展示施設

上記の様な施設を備えた”複合観光集客施設”です。

カジノのイメージが先行して、ギャンブル好きの大人が集まる場所をイメージしてしまうかもしれませんが、実際は大人から子供まで、老若男女が楽しめる様々な施設が集まった、まさに「リゾート」なのです。

IR(統合型リゾート)の目的は

・IRを作って、観光客を集客し、その都市の財政難を改善させる要因の1つにする。

・IRにはカジノ施設が含まれているので、違法にならない様、適切に管理・運営を行い、観光客を始め、良いイメージを持たない地域住民にも親しみやすい施設を提供し続ける。

主に「カジノ法案」と呼ばれていることから、単にカジノを解禁するための法律と捉えられる事も多いのですが、あくまで目的は観光客を集め、アミューズメント性を高めつつ、健全な運営・管理をしっかり行い、地域住民からも愛される事なのです。

カジノ誘致:候補地として挙がる都市

ir

カジノ誘致を表明している中で、日本国内で候補地に挙がっているのは

・大阪(夢洲)

・神奈川(横浜・山下ふ頭)

・長崎(佐世保・ハウステンボス)

・東京(お台場)

・和歌山(マリーナシティ)

・愛知(常滑)

・愛知(名古屋)

現在、国が発表している基本方針案によると、候補地が正式に決定するのは、2022年頃になる予定です。

今後IR誘致に参加する自治体は、2021年1月4日~7月30日の間に、国に申請を行う必要がありましたがこ、こちらもコロナの影響で申請期間が9カ月、延期されてしまいました。

今後は、申請を行った自治体の中から最大3箇所を選び、2022年前半~2022年末頃に正式IR候補地として認定する、といったスケジュールです。

カジノ誘致におけるメリット・デメリット

”観光客を集客”を最大の目的とした「カジノ誘致」ですが、様々な場面でメリットとデメリットが考えられます。

カジノ誘致のメリット

・慣行による経済効果

・雇用促進

・インフラ整備による地域活性化

日本がIR事業に乗り出した大きな目的の1つが、外国人感顧客を集客し、日本経済を活性化させる事です。

日本は、未だ停滞している経済状況を打破するために、観光大使としての地位を確立することを目指しています。

中国人観光客が日本製品を猫ぞぎ勝っていく姿を「爆買い」と称して話題になったのは記憶に新しいですが、その経済効果は非常に高いものでした。

より多くの外国人観光客に来てもらうためにはどうすれば良いか?という問題に、政府は提案の1つとして「カジノ法案」を提案したという訳です。

また、大型リゾートが誕生する事によって、それに伴う雇用が生まれたり、施設までの交通手段のインフラが整う事も大きなメリットです。

casino

カジノ誘致のデメリット

・ギャンブル依存症の増加

・治安の悪化

・マネーロンダリングの懸念

カジノ法案に対する反対意見として最も多いのは、ギャンブル依存症の増加です。

政府のギャンブル依存症対策の重要性は認識しており、「IR実施法」において、具体的な入場制限や、入場量の徴収などを定めています。

また、「ギャンブル依存症対策基本法」が成立したことにより、今まで殆ど対策されていなかった競馬やパチンコ等の、既存のギャンブルも含めた依存症対策が具体的に策定されていく予定です。

ギャンブル依存症の他に、「治安の悪化」「マネーロンダリングの場となる危険性」といった問題もあります。こうした問題に対して、どの様な対策をとっていくのか、政府の動きに注目が集まっています。

カジノ誘致の今後は

casino

ここまで、日本におけるIR事業の展開、カジノ誘致のメリット・デメリットをお伝えしました。

日本だけにならず、世界中でも未だ消える事のないコロナへの不安。

複合施設への集客は、コロナ対策「密」への不安が大きくなり、先行きが予測できない現状で、IR事業への投資は、かなりリスクが高くなると予想します。

2020年5月に米国のカジノ大手”ラスベガス・サンズ”が日本から撤退を表明。

コロナ情勢に加えて、以前から日本は欧米諸国やカジノ大国と比べると制約条件が多く、「日本で行うカジノ事業は、多くの収益を望めない」と判断している見られています。

昨年の9月には別の米国大手”シーザーズ・エンターテイメント、香港の”メルコリゾーツ&エンターテイメント”も候補地の大阪から撤退を表明しました。

また、近年は「オンラインカジノ」の台頭により、自分の好きな時間・場所でプレイ出来る環境もあるので、カジノを純粋に楽しみたいという観光客の集客は、あまり期待できないと予想されます。

今後コロナが終息しても、「オンラインカジノ」に夢中になったプレイヤーが、わざわざ時間とお金を使って、本場のカジノに向かう事は考えにくいです。

現在のコロナ状況下で、先行きが読めない、そして不安な現状でカジノを誘致していく事はデメリットが大きいのではないでしょうか。 

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *