日本は世界でも有数の「安全な国」として有名です。2020年のオリンピック開催国の誘致の際には、東京都知事の猪瀬さんが「東京は落し物をしてもそのほとんどが手元に戻ってきます。たとえそれが現金だったとしても」とスピーチし、話題となりましたね。世界から見ればまだまだ安全な日本ですが、近年は凶悪な犯罪や殺人事件などの報道がひっきりなしに流れています。犯罪が増えているな、物騒になったなと感じている人も少なくないのではないでしょうか。そしてそのほとんどの人が、自分には関係ないからと何の対策もしていないのが現状なのでは?でも、ちょっと待ってください。近年問題となっているのが「無差別」に行われる犯行です。「恨みを買うような人生は送っていないから」とか「治安がいい地区だから」と安心しきっていられない状況なのが、今の日本です。突然誰かに襲われるかも知れない、家に強盗がやってくるかもしれないと、常に警戒心を持ち「防犯対策」をする事で、未然に犯罪を防ぐことが出来ます。安全な世の中を作るため、犯罪者を増やさないためにも、しっかり「防犯」しましょう。

防犯とは

防犯とは、文字通り犯罪を未然に防止することを言います。防犯には2種類あり、一つは家屋に侵入してくる犯罪者に対して予防したり、また、危害を加えられそうになったときに抵抗するための用具を形態する「受動的防犯」です。もう一つは地域を巡回したり、家庭を戸別訪問して犯罪の芽を摘み犯行を未然に防ぐ「能動的防犯」があります。

受動的防犯

空き巣や暴漢など、予測しうる犯罪に対してあらかじめ防御策を講じておくことを言います。

建物の防犯

空き巣に対しては、現在従来のような一般的な家庭において使われてきたシリンダー式の錠がピッキング技術の発達により容易に破られることが多くなったため、二重施錠や監視カメラとの併用などをすることによって、防犯を強化する必要があります。例えばマンションなどでの対策としては、オートロックに加えてカラーモニターや録画・録音機能をもったインターホンを設置したり、IDカードを持っていないと入れないような設定になっていたりと様々なセキュリティーがあり、その部分をマンションの魅力として紹介することもあります。個人住宅でもカラーモニター付きインターホンの設置や警備会社との契約により、ブザーや警報、通報装置等で空き巣を未然に防ぐ方策を取る家も増えて来ています。

携帯防犯

通り魔や暴漢に対処するため、スタンガン、催涙スプレーなどのいわゆる防犯グッズを所持する女性が増えています。また、誘拐などに対処するため、小学生くらいの子供たちには防犯ブザーを持たせる親が増えていて、他にもGPSの内蔵された携帯電話やそれに相当する道具を所持させる例が、2004年頃から急増しています。

能動的防犯

能動的防犯とは、あらかじめ犯罪のおきやすそうな場所、例えば人の目から死角になる場所や外灯がなく真っ暗な道などをなくしたり、町内で見回りをするなど、犯罪のおきやすい環境を改善していき、結果的に犯罪を防止しようとする動きのことを言います。具体的には地域やコミュニティが主体となって、周辺地域の見回り、声かけなどを行い、犯罪に対する注意を喚起したり、犯罪者に「この地域は犯罪に寛容ではない」と思わせたり、住民の目から死角になる場所を減らすなどを目標にしているものです。犯罪を犯そうとする者に対する対症療法的な面がある受動的防犯に対し、能動的防犯は、その地域の環境(犯罪の起こる要因)そのものをかえていこうとする活動なので、個人ではなく地域や場合によっては市町村レベルでの取り組みが必要となります。

割れ窓理論

割れ窓理論とは、軽微な犯罪(タバコのポイ捨てなど)も徹底的に取り締まることで凶悪犯罪を含めた犯罪を抑止できるとする環境犯罪学上の理論で、能動的防犯のひとつです。割れ窓理論の説では治安が悪化するまでに次のような経過をたどるとされています。

  1. 建物の窓が割れているのを放置すると、それが「誰も当該地域に対し関心を払っていない」というサインとなり、犯罪を起こしやすい環境を作り出す。
  2. ゴミのポイ捨てなどの軽犯罪が起きるようになる。
  3. 住民のモラルが低下して、地域の振興、安全確保に協力しなくなり、それがさらに環境を悪化させる。
  4. 凶悪犯罪を含めた犯罪が多発するようになる。

したがって、治安を回復させるには、一見無害であったり、軽微な秩序違反行為でも取り締まること、警察職員によるパトロールや交通違反の取締りを強化すること、地域社会も協力して秩序を維持することを心がければよい、という理論です。

交番制度

日本の交番制度は、防犯を目的に創設されました。つまり、外勤の警察官が絶えず街の動向に目を配り、住民を把握し、不審なことがあれば犯罪が起きる前に対処するためのものということです。かつての日本は、警察官が地域住民を訪問し、茶飲み話の中から情報を収集したものでしたが、高度経済成長以降は、特に都市部では住民の出入りが激しくなり、住民の把握が困難になったことから、警察官の訪問はほとんど行われなくなりました。現在は、訪問の代わりに、職務質問を積極的に行うことを重視し、パトカー等によるパトロール活動を強化しています。職務質問を強化した結果、覚せい剤などの禁制品所持犯や窃盗犯の検挙に成功するなど、全国各地で多大な成果を挙げています。

防犯装備について

受動的防犯で効果的なのが、防犯グッズを装備することです。代表的なものとして催涙スプレーや警棒、スタンガンなどがあります。こうした道具は個人が携帯して犯罪などの難を逃れるために利用する道具で、持ち歩くことを前提とするため電池などで駆動するものや、動力を必要としない物品が多いです。ただ、中には実質的に一種の武器とみなされるものもあるため、単純にこれらを大量に持ち歩いていればそれだけ安全というわけでもなく、逆に無用なトラブルを避ける上では、必要十分にして過剰ではない範囲という面も存在します。

防犯設備

防犯機器を大きく分けると、設備と装備の二つに分けられます。防犯設備は主に、防犯カメラや防犯灯、または磁器スイッチや窓ガラスの破損を探知する音響センサーなどを利用したセキュリティシステム機器など、設置ないし固定する装置類などです。これらは警備員・守衛や用務員を置かず機械によって警備対象施設を管理・監視するもので、以前は法人向けのものがほとんどでしたが、センサーの進歩や、犯罪の増加によって、個人の家庭でも使われるようになりました。

防犯装備

個人が所持・携帯して使用するグッズです。例えば、能動的手段である警棒や、非殺傷性ではありますがやはり攻撃的手段である催涙スプレーやスタンガンなどがあります。また、受動的ですが効果的に防御力を向上させるボディーアーマーや防刃ベルト、防刃手袋、ヘルメット、盾といった防具もこれに含まれます。また、警笛や防犯ブザーのように周囲に助けを求めるための道具や、カラーボール・防犯カラースプレー・ペイント弾などといった被害を最小限に抑えつつ逃走する犯人を追跡可能にさせ検挙を助ける道具もあります。

その他

このほかにも犯罪を未然に防ぐ防犯という意味で、犯罪行為に使われかねない危険な物品の有無を検査する金属探知機や盗聴探知機などの器具もあります。護身術の範疇では米国などでは銃などの積極的な攻撃用の武器が、日本では実質的な武器は過剰防衛にもみなされることから非殺傷性で犯罪者から逃れるのを助ける道具が利用されます。より広い意味では警備用などで用いられる各種機器も「防犯装備」の範疇に含まれることになります。その延長で非常時には持ち出して利用する刺又のような道具や、パンフレットスタンドや鞄に擬装した盾などもあり、日本でも2000年代から増え始めた通り魔や不審者・変質者の問題もあって、学校施設を含む公共施設などに配置されています。

防犯装備の問題点

日本では、防犯装備の購入は自由ですが、正当な理由なく隠して携行すると軽犯罪法違法とされ、取り締まりを受ける場合があります。警棒については、正当な理由なく隠匿し携行すると生活安全条例に違反する場合があります。これは同時に、適正とみなされる範疇での携行もあり、例えば現金輸送などの危険が伴う業務では、取締りの対象にならない場合もあり、それは状況によって司法官憲により違法か否かを判断されます。ある程度攻撃的な装備であっても、状況やそれら装備の性質にもよって、一般市民での携行も必ずしも違法行為と判断されないケースも見られます。また、こういった機器は非常時に際して確実に動作することが求められます。しかし機器である以上は故障や不良品などできちんと動作しない可能性もあり、問題の拡大が懸念されています。2008年10月には全国防犯協会連合会が推奨する「優良」マーク付き防犯ブザーで故障が多発するという事例もありました。非常時の確実な動作のために定期的に動作チェックなどといった工業製品一般よりも機能維持に留意する必要があります。

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